No.01緑内障について
緑内障って、どんな病気?
緑内障とは、眼の中の圧力(眼圧)が高くなることによって、眼の奥の方にある視神経が壊されてしまい、物が見えにくくなっていく病気です。
人間が失明する原因にはさまざまな眼の病気がありますが、その第一位が緑内障であり、失明原因の約1/4を占めています。
緑内障は高齢になるほど増加していき、40歳以上の日本人の約20人に1人が緑内障であることが知られていますが、そのうちの9割は未受診、未発見のまま放置されていると考えられています。
どんな感じに見えにくくなるの?
緑内障では、視神経が壊れてしまった部分に相当する箇所で光の感度が落ちてしまい、視界の中で欠けている箇所ができてきます(視野欠損)。
そして、その欠けている箇所に加えて、ぼやっとしたかすみも出現し、それが徐々に拡大して、鮮明に見える範囲が極端に狭くなっていきます(視野狭窄)。
下の写真のように、病気がある程度進行してくると、見えにくさに気がついて眼科を受診することも多くなるのですが、初期の段階、特に片眼の緑内障は日常生活では気がつかないことが多く、交通事故を起こす大きな原因となります。
急に眼圧が上がることによって眼の痛みや頭痛・吐き気が出てくる「閉塞隅角緑内障」は比較的発見されやすいのですが、日本人の緑内障の多くは、眼圧があまり高くないにもかかわらず何年もかけてゆっくりと進行していく「正常眼圧緑内障」とよばれるものであり、普段の生活では病気に気がつきにくいため、見落とされていることがよくあります。
[緑内障の見え方の変化]
- 正常視野
- 視野の変化-1
- 視野の変化-2
- 視野の変化-3
どうやって治療するの?
緑内障を適切に治療するためには、まずいくつかの定期検査が必要です。
(1) 眼圧測定
眼圧が高くなることによって視神経が壊されていくので、まずはその眼圧の測定が必要です。
この眼圧測定には、眼に直接測定器を当てて測る「接触式眼圧測定器」と、眼に空気を当てて測る「非接触式眼圧測定器」とがあります。
(2) 眼底検査
次に、眼の奥の方にある視神経や血管の状態を詳しく調べます。
視神経乳頭の中心近くには凹みがあり、緑内障の患者さんではこの凹みが広く、そして深く拡大していきます。
この視神経乳頭の変化は視野の異常よりも先に現れます。
また、近年は「光干渉断層計(OCT)」という器械の普及によって、その視神経乳頭の変化はより早期から、より正確に検出できるようになってきました。当院でもこのOCTを導入しており、緑内障の早期発見に努めています。
- [正常OCT]
- [緑内障OCT]
(3) 視野検査
一点を注視したときに鮮明に見えている範囲(視野)を測定します。
下の検査結果で、明るい部分が鮮明に見えているところ、暗い部分がよく見えていないところです。
- [正常視野]
- [緑内障視野]
緑内障が進行する速度は患者さんによって異なるので、以上の3つの検査を定期的に実施しながら病状を把握して治療計画を決めていきます。
緑内障は、眼圧を下げることによって視神経の負担を減らし、進行を抑えることができるので、まずは眼圧を下げる効果がある点眼薬を用いて治療を始めます。
その点眼薬を何種類か使っても眼圧が下がらずに病状が進行する場合は、眼圧を下げるための手術が必要になります。
緑内障は治療すれば治るの?
残念ながら、壊れてしまった視神経は元には戻らないので、視野が欠けてしまった箇所が再び見えるようになることはありません。
ですが、緑内障が発見されて正しい治療を続けていけば、大部分の人が失明を防ぐことができるので、処方された点眼薬を毎日決められた時間にきちんと点眼する習慣をつけましょう。