No.02ドライアイについて
「目が疲れる」、「物がかすんで見える」、「何となく不快感がある」・・・
日頃の生活で時々このような目の症状を自覚することはないでしょうか?
こうした症状を訴えて眼科を受診される患者さんは、近年とても増加しています。
その感じ方や程度は人それぞれですが、単なる疲れ目だと思われていたこれらの症状は、実は「ドライアイ」によるものかもしれません。
ドライアイでは、単に「目が乾く」というだけでなく、眼の表面に異常をきたすことによって様々な症状が現れるのです。
ドライアイって、何ですか?
ドライアイとは、涙の量や質が変化して、眼の表面(角膜や結膜)に傷がつく病気のことです。
涙はまばたきによって薄い膜になり、眼の表面を覆って乾燥あるいはゴミやバイ菌などから眼を守ってくれていますが、その涙の量が減ったり成分が変化すると働きが不十分になって、角膜や結膜が乾燥して傷がついてしまいます。
これが一般に「ドライアイ」と呼ばれているものです。
どんな症状が出るのですか?
「目が痛い」とか「目が乾く」といった症状で受診されてドライアイが発見される患者さんもいますが、こうした典型的な症状よりもむしろ「目が疲れる」とか「何となく不快感がある」といった症状を訴える患者さんの方が一般的のようです。
右の12の症状のうち5つ以上当てはまればドライアイの可能性があるので、皆さんもまずはチェックしてみてください。
- 目が疲れる
- 目が乾いた感じがする
- 物がかすんで見える
- 目に不快感がある
- 目が痛い
- 目が赤くなりやすい
- 目が重たい感じがする
- 涙が多く出る
- 目がかゆい
- 光がまぶしい
- 目がごろごろする
- めやにが出る
ドライアイの原因は何ですか?
ドライアイを引き起こす要因や環境には様々なものがあり、実際にはそれらが複合して起こっているものと考えられています。
たとえば、パソコンやスマホの長時間の操作によるまばたきの回数の減少や、エアコンの送風・湿度低下などの生活環境、さらにはコンタクトレンズの長時間装用などによっても、涙の膜はかなり不安定になるので、ドライアイを起こしやすくなります。
また、加齢によって涙は分泌量が減るとともに安定性などの質も低下するので、やはりドライアイは起こりやすくなります。
どうやって治療するのですか?
ドライアイの治療は、点眼液の使用で涙を安定させて、眼の表面の傷を修復することが第一です。
治療に用いられる点眼液には、涙に近い成分を持つ人工涙液や、保水効果を持つヒアルロン酸ナトリウムを配合した点眼液があります。
また、近年は涙の重要な成分であるムチンの分泌を促す点眼液も開発されており、その治療効果が期待されています。
簡単に治りますか?
そう思われがちですが、残念ながらこうした点眼液も含めて、現時点でドライアイを完全に治す方法はありません。
また、点眼液を使っても治療効果をほとんど得られない重症例では、上下のまぶたにある涙の排出口にシリコン製の栓をして、涙が目の表面にとどまるようにする治療が必要になります。
しかし、ドライアイは「目の生活習慣病」という側面のある病気なので、こうした点眼治療だけでなく患者さんご自身が物を見る環境を整えることも大切です。
普段の生活で気をつけることは?
たとえば、パソコンを長時間使用する際はこまめに休憩をとって、目を酷使しない事が大切です。
また、モニターやテレビも、見上げるように画面を見ると自然にまぶたが大きく開き、それだけ涙の蒸発が早くなってしまうので、あまり目を見開かずに済むよう画面をなるべく目より下に置いて見下ろすようにした方がいいでしょう。
そして、画面を凝視していると、自分では気づかないうちにまばたきの回数が減ってしまい、これもドライアイを発症する大きな要因となるので、何かに集中して物を長時間凝視するような状況ではご自分でも意識してまばたきの回数を増やすようにしてください。
コンタクトレンズの長時間装用もドライアイを悪化させる要因の一つです。「もしかして自分はドライアイかな?」と思う人は、コンタクトレンズの使用環境を見直した方がいいでしょう。
ドライアイは近年増加傾向にある現代病の一つであり、一般的なオフィスでは約30%、コンタクトレンズの装用者ではさらに多い約40%の人がドライアイであると言われています。
最初に挙げた項目でいくつかが当てはまった方は、「自分もドライアイかも・・」と考えてもらい、まずは日常の生活環境の見直しから始めて、悪化するまで目の症状を放置しないように気をつけてください。